或るニートのブログ ~映画と絵画の日々~

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映画「真夜中のカーボーイ」

 

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ジョーは生粋なおばあちゃん子だった。おばあちゃんにはウッジィ・ナイルズという情人がいた。ジョーはかつて恋人をレイプされたつらい経験の持ち主で、映画の隅々にその片鱗が描写されている。かれは一年発起、地元レストランの皿洗いを辞し、ニューヨークでの男妾をするべくカーボーイ姿で高速バスに揺られた。
テキサスの田舎者から見えたニューヨークは夢幻の花だった。かれはホテルに部屋を借り、そこを足場にカモになる女性を物色した。…現実は厳しい。ようやく見つけた初老の婦人と一線を交えるも、終わると忙しげに愛人宅へ行くといって、逆にジョーから金銭をむしり取る。そんな折、バーでラッツォ・リゾなるぴっこ足を引いた小男に出会う。ニューヨークでは一人ぼっちだったジョーはたちまちラッツォを相棒に男娼を始める。
一見順風満帆に見えたマネージャーの起用だったが、ラッツォはジョーに男ほ紹介する。怒ったジョーはニューヨーク中をラッツォを探して歩き回る。と、そんなころ合いにバーのカウンターに座るラッツォを見つける。一瞬旧友に出会ったときの喜びの笑顔を見せたジョーだったがとみに表情をこわばらせる。すでにホテルも追い出され切羽詰まっていたジョー。ラッツォは自宅に招い入れた。廃墟となり取り壊し目前となったアパートだった。ラッッォのからだはすでに病魔に取りつかれ、せき込んでばかり.。それでもジョーにとってはありがたい住みかとなった。
そんなある日、バーにいた二人のもとへヘンゼルとグレーテルと名乗るヒッピー風の男女が現れパーティーに誘われた。行ってみるとアンダーバーで、麻薬やサイケデリックなムードに包まれた異様な空間だった。ジョーはマリワナを吸い、ラッツォはポケットというポケットに料理を詰め入れた。ビジュアル的にも音楽的にも幻想に満ちたコアなシーン・背景だった。
ジョンはここでショートカットの一人の女に見いだされる。二人は彼女のマンションに行き体をまみえるが、ジョーがストレスからかエレクトしないる慰める女。やがて二人はクロスワードパズルに興じる。としてイン。ジョーの初仕事は成就した。
一方でラッツォはいよいよ病魔に体を疲弊させられていた。「フロリダに行きたい」ともらすラッツォ。すでに友情が芽生えていた。ジョーはラッツォのために男色も厭わなかった。ゲイの学生、出張中の中年男。この男からカネをむしり取り、ラッツォを連れてフロリダ行きのバスに乗る。
テキサスとも、ニューヨークとも違う開放感あふれた町。バスの最後部に乗車した二人。到着間近で尿を漏らしてしまうラッツォ。いやな顔一つせずスーパーで替えの下着を買ってくるジョー。まるで二人は恋人同士にさえ見える。そして。バスが停留場にさしかかって息絶えるラッツォ。医師がきて「仏の目をつむらしてやりな」と述べて死体は簡易処理される。トラウマと衝動がジョーに与えた代償に冷たくなった一人の男性の遺骸が提示された。そしてハーモニカ音楽が、それらをかき消すように流れ出す。