2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧
「ある殺し屋」という大映映画が昔あったが、この「天使の涙」はそのクールさを市川雷蔵から引き継いだかのような怜悧な空気に覆われてた。ウォン・カーワイとクリスァー・ドイルの映像美が加わってさらにリアルな殺し屋が描写されている。音楽も一流な音色…
高層ビルのはざま。平屋建てのぼろ屋敷に暮らす六人家族の生きざまを描いた映画らしい映画。タイトルだけで映画館に向かった小市民たちは惜しげもなく喝采と称賛でこの映画を飲み込んだのだろう。イリーガルもフィルムであるうちはドリームとなぞらえる。 治…
30年近く前に東中野ボックスでYMOのマルチプライズ的な映画と併映していたのをたまたま観た。パンフレットには短編映画「不思議な久美子」の全セリフが掲載されていたが、その抒情的作品の邪魔にならないよう読まずになくしてしまった。 1964年の東京が舞台…
30年近く前に東中野ボックスでYMOのマルチプライズ的な映画と併映していたのをたまたま観た。パンフレットには短編映画「不思議な久美子」の全セリフが掲載されていたが、その抒情的作品の邪魔にならないよう読まずになくしてしまった。 1964年の東京が舞台…
本日のテキストはボニー&クライド。邦題「俺たちに明日はない」。1967年。世界大恐慌時代を背景に暗躍した銀行強盗団の物語。その一翼を担ったギャングがこのボニー・パーカーとクライド・バロー。正義とは真逆の行為を重ねながらもヒーロー化してしまう不…
アンソニーバージェスの原作を忠実に描いたキューブリックの名作。30年以上前に観たムービーだが記憶を頼りに寸評してみる。 近未来のイングランドがステージ。主人公の名はアレックス。未成年ながらなかなか頭の切れる不良である。オープニングはミルクバ…
君は最低だ ミッシェル・ポワカール、後の指名手配犯。ロケーションは南仏マルセイユ。その場しのぎで生きる男のプロローグ。新聞紙を手にゴロワーズをくわえるしたたかな目は虚空をとらえていた。手引ぎする女をしり目に自家用車をかっぱらい、パリに向かう…
パラノイア的に散りばめられたスクリーン上の配色。1959年のフランスを舞台に片田舎から都会に現れたローズ。中年前の男性ルイが経営する保険会社の面接を受ける。様々な色に散りばめられた面談の応募に訪れた若いお姉さんたちのファッションにも目が向く趣…
オープニングから饒舌なガンアクション。これがウッディアレンのフィルムならもっと曇天に包まれた空気がスクリーンに漂っていたはずだ。 ニューヨーク。リトルイタリア人街。ダーティハリーのロスのような青空。のんびりとした労働者たちの後ろ姿か゛そここ…
裸婦
幼いころからトムは器用だった。一見下品で貧乏育ち。 トムと資産家の息子フィリップは青年期を共に過ごした友だ。しかしこの貧富の差に芽生えた惡の華はたちまち蔓を伸ばしていた。 ローマ市街の路上レストランからシーンは始まる。あっさりと他人のサイン…
米国、メキシコとの国境地帯。ジェット機の轟音。済んだ青空。 ここでヘロインを換金したキャプテン・アメリカとビリーのふたりは自由を求めて1200ccのハーレーにまたがり腕時計を地面にたたきつける。時間から解放されたわけだ。 二人のバイクが火を噴いた…