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映画「レオン」~ある殺し屋の最期

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オープニングから饒舌なガンアクション。これがウッディアレンのフィルムならもっと曇天に包まれた空気がスクリーンに漂っていたはずだ。

ニューヨーク。リトルイタリア人街。ダーティハリーのロスのような青空。のんびりとした労働者たちの後ろ姿か゛そこここに蠢いている。ここに一人の孤独な殺し屋が潜んでいる。この男はリットルのミルクと植木鉢を愛していた。ただそれだけでⅠミリの感情さえ心の隙間を通さないいかついスピリットを具備していた。名はレオン。

隣に住むマチルダ麻薬取締官たちに家族を虐殺された。最もたいせつな弟までもが殺された。彼女はレオンに救いを求め、自らも殺し屋になる志願をした。これから二人のニューヨーク界隈でのプチ・ロードムービーが始まる。

女と子供には手を出さない。ふたりの絆はこの一語だった。

少女は背伸びをする間もなく、狭隘な悪の世界を俯瞰することとなる。

女と子供には手を出さない。

ふたりは行動を共にし、ある日彼女は敵である麻薬取締官と邂逅する。死体の血痕なまなましい自宅アパートに訪れると、死別した弟の面影は操作用の事務機器の養生テープで囲われていた。マチルダは隠し場所からドル紙幣の束を胸に抱くと、レオンにターゲットの名を告げ殺しを依頼。断るレオン。ならば、と。

ひとりマチルダ麻薬取締官の詰める事務所に出向くが、すぐに正体がバレてしまう。レオンには短文のメモを書置きしておいた。

やがてレオンが駆けつける。タクシーをビル前に止めて彼女を救う。この一件でふたりの素性が察知され、追うものから追われるものに代わってしまった。

その時は突然やってきた。

ミルクを買いに行ったマチルダが待ち構えていた警察の特殊部隊に拘束されてしまう。ドアのノックが暗号だった。機転をきかせたきかせた彼女はうその合図で警察を欺いた。徐々に迫るレオンへの包囲網。

小型ミサイルまでが使用される警察の急襲作戦にも二人はひるまず、短い時間だったが大人の女性に変貌しようとしていたマチルダとの情愛、惜別を経て少女マチルダは殺し屋から足を洗う。

悪辣捜査官に捧げたマチルダからのプレゼントはレオンの命の最期の咆哮だった。