或るニートのブログ ~映画と絵画の日々~

或るニートの一生~絵画と映画の寸評と鑑賞~

或るニートの一生~映画・絵画~

映画`「シビルの部屋」~まだ恋は知らない~


映画`「シビルの部屋」~まだ恋は知らない~f:id:yvonne63ino3:20191101051242j:plain

16歳のシビルはちょっとおませなリセに通う女子高生。ある日下校途中で本屋に入り二冊万引き。見とがめたアレックスに事務室に連れていかれ、悪びれることもなく「私なら、佐戸よりよい小説が書ける」と豪語。何日か後にシビルの家のパーティーに現れたアレックスはシビルに「本を出版しよう」と提案。シビルはまだ初【うぶ】だったが、同意し、アレックスを男性として見初めた。

シビルが小説を書くに至るまでの曲折に処女という難問が待っていた。やさぐれた少女ではないピュアな感覚を具備している。彼女は手始めに従妹であるラファエルの男性器を研究した。そして大本命のアレックスを無理やり説き伏せ男女の関係性を形作る。彼女の書いた小説は色気を帯び始め、やがて出版され、ベストセラーにまでなる。

そんな折、アレックスの別荘でスキーの合宿が開かれシビルの家族も招待された。フランスの雪国は一面真っ白な冬景色。この地には木造の礼拝堂がポツンとあった。アレックスはささやく。「二人の抱擁は礼拝堂の雪が消えるまで内緒にしておこう」と。

二人の愛憎劇はやがてピークを迎える。アレックスがほかの女性と関係を持ち、それを垣間見たシビルは当てつけに従妹ラファエルの精液を採取し、ラファエルのガウンとみづからの股間に塗りたくってひとり部屋で叫び声を上げる。すぐにアレックスが部屋に駆けつけ興奮しているシビルに押し乗った。ところにシビルの家族が現れ二人の関係性を認識する。アレックスは告訴される。

「二人の抱擁は礼拝堂の雪が消えるまで内緒にしておこう」と言っていた礼拝堂にシビルが火をつけた。ごうごうと燃え上がる建物。シビルはアレックスへの愛を自覚する。初恋は悩ましいほど無様なものだった。相思相愛を確かめるのにはさして時間はかからなかった。ちょっと暗くて地味目な思春期ストーリー映画。

【追記】エマニュエル夫人の作者エマニュエルアンサンの十代の経験に基づいた小説~NEAの映画化。まぶしいほど潤いのある肢体をスクリーン上にあらわにするシビルは撮影当時21歳だったそうだ。筆者はこの作品を東京12チャンネル時代の1980年代ごろに、お昼のロードショーで何度か見た。イタリア映画の「ああ新婚」と並ぶトラウマ映画である。