或るニートのブログ ~映画と絵画の日々~

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映画「昼顔」

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セブリーヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)は貞淑な妻。医師である夫と平穏に暮らしていた。オープニング、馬車に乗った夫婦をカメラは捉える。上流階級を絵に描いたような一コマだ。が、セブリーヌの妄想の中では馬車引きと夫に鞭でにいたぶられる妄想を抱いてしまう。「シェルブールの雨傘」から二年、ドヌープの演技開闢の灯がこのシーンで赤裸々になる。筆者には緊縛を嗜みたいといリビドーが横溢している。実際モデルを雇ったり制作監督をしていたビデオなどでも女性を何人も縛った。縛られる女性は美しい。昭和初期の責め絵の大家・伊藤晴雨に憧憬の念を持っている。

セブリーヌはそんな妄想と上流階級の二面の感情に日々苦心していた。ある日友人から高級娼婦にならないかと紹介され、セブリーヌは夫に内緒でとある娼館を訪れた。そこでマダムに「昼顔」なる源氏名を与えられ午後二時から五時までを娼婦として生きることなした。

仕事はセブリーヌの心を満たした。男のおもちゃになることの快感。しかししつこいマルセルという金歯の男に平穏だった昼の顔を台無しにされる。マルセルはセブリーヌにぞっこんになり自分の妻になれと強要、挙句の果てに彼女の住所を調べピストルを帰ってきた夫に向け重傷を負わせる。夫は下半身不随になり車いす生活となる。

夫に妻の真実を密告した友人の話を夫は聞き流す。セブリーヌはこれから献身的に夫のために生きようと決意する。

或る種作業療法的に夫婦生活を円満にしていくストーリーだが、夫以外の男に抱かれる破廉恥な素行を与しなければ精神の安定を見いだせない、ブニュエルのちょっと暗い目の名作だ。